1. はじめに
運送業において契約書は、仕事をスムーズに進めるためだけでなく、トラブルや紛争を防ぐための重要な書類です。
「知り合いだから」「長年の取引先だから」と口約束で済ませてしまうと、後々トラブルになった際に立場が弱くなります。
たとえば、こんな問題が発生することがあります。
✅ 運賃が支払われない(未払い問題)
✅ 荷物の破損や遅延による損害賠償トラブル
✅ 契約解除の条件が曖昧で、一方的に切られる
✅ 業務の範囲が曖昧で追加業務を押し付けられる
契約書をしっかり作っておけば、こうしたトラブルを未然に防ぎ、スムーズに解決できます。
この記事では、運送業界で取り交わされる主な契約書と、その基本構成について詳しく解説します。
2. 運送業界における主な契約書の種類
運送業では、大きく分けて3種類の契約書が使われます。
取引の形態によって契約書の内容が変わるため、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
✅ ① 運送委託契約書(元請 ⇔ 下請)
元請が下請(協力会社)に運送業務を委託する際に交わす契約書。
→ 責任範囲や運賃、下請法との関係がポイント
✅ ② 貨物運送契約書(荷主 ⇔ 運送会社)
荷主と運送会社が契約を交わす際に使用する契約書。
→ 荷物の引渡し・損害賠償・遅延時の対応が重要
✅ ③ 業務委託契約書(個人事業主ドライバーとの契約)
フリーランスや軽貨物ドライバーと契約する場合に使う。
→ 労働者性(雇用契約との違い)、運賃計算、責任分担がポイント
それぞれの詳細については、別の記事で詳しく解説します。
3. 契約書の基本構成
どの契約書も、大枠の構成は共通しています。
重要な項目を理解し、自社に合った契約書を作成しましょう。
✅ ① 契約当事者の明確化
契約を交わす企業や個人の情報を記載します。
【記載例】
• 会社名
• 代表者名
• 住所
• 電話番号
• 法人番号(法人の場合)
✅ ② 契約の目的(業務内容)
何の業務を委託・契約するのかを明確に記載します。
運送契約なら、「〇〇の貨物輸送」など具体的に記述することが重要です。
✅ ③ 契約期間
契約の有効期間を記載します。
• 〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇年〇〇月〇〇日まで
• 自動更新の有無(更新しない場合、〇〇日前に通知など)
✅ ④ 運賃・支払い条件
運送業では、運賃の取り決めが最も重要です。
• 運賃の計算方法(固定 or 変動)
• 燃料サーチャージの適用有無
• 支払いサイト(例:月末締め翌月末払い)
✅ ⑤ 業務の範囲と責任分担
• 運送する荷物の種類・数量・エリア
• 積み降ろしの責任(運転手 or 荷主)
• 事故・遅延時の対応(損害賠償の範囲)
✅ ⑥ 違約金・ペナルティ
契約違反が発生した場合のペナルティを定めておきます。
• 支払い遅延の罰則
• 業務遂行不能時の対応
• 無断契約解除時の違約金
✅ ⑦ 契約解除の条件
「どのような場合に契約を解除できるのか」を明確に記載します。
• 長期未払い
• 重大な契約違反
• 事業の廃止
✅ ⑧ 機密保持条項(NDA)
取引先の情報や運送内容を外部に漏らさないよう、機密保持義務を定めます。
✅ ⑨ 紛争解決条項
万が一、契約上のトラブルが発生した場合に、どのように解決するかを決めておきます。
• 協議で解決する
• 仲裁機関を利用する
• 裁判(管轄の裁判所を定める)
4. 契約書作成時の注意点
契約書を作成する際には、次のポイントを押さえましょう。
✅ ① 曖昧な表現を避ける
×「適宜対応する」 → 〇「〇〇日以内に対応する」
×「トラブル発生時は協議のうえ」 → 〇「損害額の〇%を負担する」
✅ ② 標準運送約款との整合性を確認する
貨物自動車運送事業法では、「標準貨物自動車運送約款」が定められています。
契約内容が約款と矛盾しないかをチェックしましょう。
✅ ③ 口約束を避ける
「あとで契約書を作ろう」と後回しにせず、取引開始前に必ず書面を交わす。
書面がないと、万が一トラブルが起きた際に証拠がなく、裁判でも不利になります。
✅ ④ 相手のひな形をそのまま使わない
元請や荷主から契約書を提示されることもありますが、不利な条項がないか慎重に確認しましょう。
特に、支払い条件・契約解除条件・責任分担の部分は要チェックです。
5. まとめ
運送業の契約書は、単なる書類ではなく、自社の権利を守るための大切なツールです。
特に、次の3種類の契約書をしっかり作成・確認することが重要です。
✅ 運送委託契約書(元請 ⇔ 下請)
✅ 貨物運送契約書(荷主 ⇔ 運送会社)
✅ 業務委託契約書(個人事業主ドライバーとの契約)
今後のブログ記事では、それぞれの契約書についてさらに詳しく解説します。
運送業の契約に不安がある方は、ぜひチェックしてください!
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